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Amazon.co.jp:がんばらず、あきらめないがんの緩和医療サインとぬり絵
 「彦根市立病院には緩和ケア科がある」
 ということを聞いたのは、5月の診療所実習でのことだった。緩和ケア科に非常勤で勤める先生が診療所に週1回診察に来られており、「病棟にパチンコがある」なんて、おもしろいお話を聞かせてくださったのだ。
 実は、6月11日から7月5日まで、まさに彦根市立病院で実習する予定があったので、そんな科があるんだ、ということに驚き、どんなところだろうと興味をつのらせていたんである。
 そこで、当初は外科だけで実習する予定だったのが、外科の先生と、この『がんばらず、あきらめないがんの緩和医療』の著者である黒丸先生のご好意で、最後の4日間だけ緩和ケア科で実習させていただくことになった。

 本書に書かれているお話を読むと、「これが病院のできごと?」と、目をみはってしまう。
 なんせ、病棟でお酒が飲める。
 わたしが実習していたときも、お酒の大好きな患者さんがおられ、おうちの人が持ってこられた日本酒で黒丸先生と晩酌をされた、ということがあった。
 それだけではない。
 重症の患者さんがお風呂にゆっくりつかることも、煙草も、ペットの面会さえも、他の患者さんに迷惑をかけない範囲ではあるが、可能なのだ。
 「病院のジョーシキ」が、ここでは常識ではない。
 ジョーシキから考えると、煙草をやめさせなければ、間食は控えなければ、という「~しなければいけない」ということになってしまう。でも、そうじゃないのだ。

 また、緩和ケア科というと、「もうお迎えを待つばかり」といったイメージがあるし、わたしもそう思っていたけれども、そんな人ばかりではない。
 治ることをあきらめていない人もいる。西洋医学の見地からは「治療できない」とされた人でも、サプリメントや食べものなど、いわゆる代替医療を使って治ろうとしている人たちがいる。
 これは大きな驚きだった。たとえばアガリクスやプロポリスでがんが治った、という話は世間にあふれている。でも、それらは根拠がないし、治るなんてとうてい思えない、と思っていた。
 もちろん、それらに根拠はない。西洋医学のような、はっきりしたデータがあるもののほうが少ない。
 ここに来る前だったら、患者さんに「アガリクスを飲んだら絶対治ると思うんです」と言われたら、「ええ~、治らへんのとちゃうかな」と思いつつ、やんわりと別の方法を勧めただろう。
 でも、黒丸先生は言う。
 「それは、医者側の意見の押し付けだよね。やんわり言おうが、言ってることは押し付けになっている。患者さんは『飲んだら治ると思うから、飲みたい』と言っている。それに対して否定的なことを言っても、患者さんは飲みたいわけだから医者がどれだけ力説しようが、飲むときは飲むだろう。だから、いったん期限を決めて、飲んでもらう。その上で、期限がきて良くなっているか悪くなっているかの評価をする。そこで、再度こちらの意見も『どうですか』と聞いてもらう」
 それは、「したければ、やればいいじゃない、こちらは知りませんから」という突き放した考え方とは違う。
 多くの医者が、「こちらは知りませんから」と突き放すけれども、そうではなくて、相手の意見も尊重したうえでこちらの意見も出してみる、とも先生は仰った。
 
 西洋医学と、代替医療、どちらが優れているか、という話ではない。医者は、医療行為を「患者さんのためになる」と思ってやっているのは確かだ。悪くするためにやる人なんか、ほとんどいない。だれだって、患者さんが良くなってほしいと思っている。
 けれども、ときとして「患者さんのために」やっていることが、その人にとっては苦痛であったり、やりたくなかったり、難しかったりする。
 そのとき、どうするか。
 「ダメな患者さん」とレッテルを貼るのか、そうではなく一緒にどうしたいか、どうすればいいか、考えていく。そういうやり方もあるし、ときには「やれること」が代替医療だったりする、ということなのだろう。

 本書には、実際に緩和ケア科の病棟や外来で取り入れている代替医療のことについても書かれている。アロマセラピー、カラーセラピー、リフレクソロジー、ホメオパシーなど。
 (余談だけれど、この本を教えてくださった研修医の先生に「ホメオパシーって知ってる?」と聞かれ、「え、あ……恒常性のことですか?」と言ったら、「……それは、ホメオステーシス」と目を見開かれてしまった。あちゃー)。
 アロマセラピー、カラーセラピーについてはわたしも実習中に体験した。写真の右側の絵が、カラーセラピーでやったぬり絵である(となりは、黒丸先生にいただいたサイン)。
 前に精神科実習中の「絵画療法」をとりあげたけれど、それと似ている(同じかも)。ぬり絵をしてもらい、その絵についてタイトルをつけて語ってもらう、というだけのことなのだけれど、これが意外と楽しい。
 わたしのは「国家試験までの道のり」だったり、する。
 塗っているうちに山が国試に見えちゃって、あーあ。でも希望は持ちたいという意味で、わりと明るい印象に仕上がった。

 「病院」であるとか「医療」について、いままで持っていたイメージが、いい意味で揺らぐ。そんな本であったし、出会いであったといま振り返ってみて思う。
 いまはまだ、身体面からアプローチする西洋医学の勉強すらおぼつかないから、まずはそこからだ。でも、患者さんの心理的・社会的・霊的側面からも「癒す」、という考えがあることを、心に留めておきたい。

 ちなみに、けっきょく病棟でパチンコはできなかった。
 残念!
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2007.07.07 | Bookshelf: 本棚  
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