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アルベルト・ジャコメッティ展
 大きなポスターの中に、ほそい針金のような人のからだ。
 ジャコメッティの作品を最初に見かけたのは、この夏、実家に帰省しているあいだに友だちと神戸でカフェめぐりをしたときのこと。帰りの電車に乗るためにJR三ノ宮駅の改札口をくぐると、そこに大きなジャコメッティ展のポスターがあった。そのとき駅の構内は人がひしめき合っていたのに、ポスターが放つ雰囲気に目を奪われてしまったことを覚えている。
 夏の暑い日だった、吸血鬼が灰になる気持ちを味わえる程度に。
 見にいきたいとずっと思っていて、ようやく見にいけたのは、秋もいよいよ深まろうとしているこの季節で。
 ジャコメッティの作品はそれとわかる独特さをもっている。異様、ともいえる。最初はその異様さにぎょっとし、そして不思議とひきつけられるのだ。目が離せない、なぜこうなるのだろうという好奇心の混じった視線で彼を見つめてしまう。
 このジャコメッティ展では、彫刻家としてのジャコメッティのみならず、絵画や矢内原伊作との交流のあかしである書簡なども展示されている。また、ジャコメッティの作風の変遷を追ってゆくしくみになっている。
 そこが面白い。ジャコメッティがどんな人であったかは、わたしにははかり知れないけれども、とても純粋だ、という印象をうけた。「純粋」という言葉が適切かどうかには自信がないが、対象物(人間)に対してのひたむきで真面目な視線を感じるのだ。
 人間と、人間がいる空間へのジャコメッティの視線は、頑固なまでに「見えているもの」に忠実であろうとしている。「見えているもの」を「見えているままに」つくろうと試行錯誤し(おそらくそんなことは誰にもできないのだが)、失敗を繰り返して飽くことなく対象を見つめている。
 その視線は、対象への純粋な愛情すら感じさせて、たとえば矢内原との交流においても非常に密度の高い、友情以上のなにかを感じさせた(同性愛、ということではなく)。
 ああ、ジャコメッティを語ろうと思うには、言葉が足りない!人の名前が冠された作品ですら、わずかの違いはあるもののほとんど同じように見えるし、絵画でもそうで、なぜか描かれる人物の顔はほとんど同じに見える。それなのに、おもしろい。ジャコメッティが「完成されていない」からかもしれない。
 そうだ、兵庫県立美術館での展示のしかたで「おもしろい」と思ったのは、壁と壁のあいだをわざと1メートルから数10センチほど離しておき、そのすきまから向こうの部屋を覗けるようになっていること。そこから向こうを見てみると、ジャコメッティの細い細い作品を見ている来場者たちが、作品となぜかだぶって見えてくる。近くにある小さなジャコメッティの作品と、遠くの閲覧者のサイズが同じだ、とか。作品を見るとき、その周辺も見わたしてみると、すこしだけジャコメッティの視線を味わえるかもしれない。

【アルベルト・ジャコメッティ展】
 2006年8月8日(火)~10月1日(日)
 兵庫県立美術館
 開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
 ※特別展会期中の金曜日と土曜日は
  10:00~20:00(入館は19:30まで)
2006.09.30 | Art: 芸術  
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