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Amazon.co.jp:ティファニーで朝食を
 「カポーティを読もう・キャンペーン」第3弾は、かのオードリー・ヘップバーンが主役のホリーを演じたことで有名な映画の原作『ティファニーで朝食を』。
 じつは、映画の「ティファニーで朝食を」をわたしは見たことがない。
 何度かレンタルで借りようとしたことはあったけれども、なぜかそのたびに借りるのをやめてしまっていた。DVDのうらにある解説を見るかぎりでは、どうも「ハッピーエンドのラブストーリー」のようだったし、たぶんそれがいまひとつ借りようという決心のつかなかった理由だ。
 実のところ『ティファニーで朝食を』を読むにあたって、これまで読んだ『夜の樹』『カポーティ短篇集』からは、カポーティがそういった「ふつうのラブストーリー」を書くなんて想像がつかなかった。
 だからいったいどのようなものだろうと恐る恐る読んでみて、納得。
 これは、たぶん映画とは違う作品だ。映画のほうは未見ながらも、そのはずだという確信がある。まず、結末が違う(と思われる)。だが、これ以上このことについて言及するのは控えよう。
 映画はラブストーリーを楽しむ明るいもののようだけれど、原作のほうは戦争中だという時代背景のせいだろうか、灰色みがかった色調の物語である。その中にひとすじの光明としての女性:ホリー・ゴライトリーが豊かな色彩をもって描かれ、ホリーの持つ名刺「ホリー・ゴライトリー・トラヴェリング(traveling:旅行中)」そのままにひとところにとどまらない自由な変化を願う気持ちがこめられた作品。
 なお、この『ティファニーで朝食を』には、表題作のほかに『わが家は花ざかり』『ダイヤのギター』『クリスマスの思い出』が収められ、最後の『クリスマスの思い出』は『夜の樹』にも収録されている。これらの3編もすてきなもので、とくに『クリスマスの思い出』はあらためて読んでみると、貧しい生活のなかにも夢がぎゅっと詰まっていて、あたたかさ(そして一抹の寂しさ)が心にしみわたってきた。豊かさについて教えられたような心もちがし、かみしめるように味わって読みたくなった。
 滝口直太郎の訳が古いせいか(初版は1960年!)、残念ながら時々ひっかかるところがあるものの、慣れてくればそれほど気にはならない。現代ならもっと洗練された訳をする人がいそうだ、という気がするし、この訳で読むのは本を読み慣れない人には少々つらいかも。
2006.10.20 | Bookshelf: 本棚  
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