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Amazon.co.jp:遠い声 遠い部屋
 9月のおわりに『夜の樹』を読んでから、自分の中で「カポーティを読もう・キャンペーン」が地道に開催され、ずっとカポーティを読んでいる。昔は一日で本を何冊も読みきってしまうことがよくあったけれど、最近では時間と集中力の関係で、少しずつしか読めていない。それで、ようやく5冊目を読んだ。
 5冊目にして選んだ『遠い声 遠い部屋』は、カポーティの処女作であり出世作である。書くことは彼にとって幼いころから親しんできたことであったようだし、それ以前にも短編作品を書いているが(『ミリアム』もそのひとつである)、この長編作品によって彼はアメリカ文学界に彗星のように降りたったのだった。このとき、22歳。
 ごく初期の作品にもかかわらず、このころからすでに作品には強烈な彼独特の個性があらわれている。というのは現実と虚構の入り混じるファンタスティックさがあるということで、(おそらくは自身の経験を下敷きにしているのだろうが)現実にうすいベールをかけて覆ったような夢のような作品なのだ。
 作品は少年が自分の父親を求めて、それまで住んでいた土地を離れて父親のもとへやってくるところから始まる。父親のいる館での生活は、夢の中にいるようなできごとの連続で、そして最後に現実へと着地する(すくなくとも、着地しようとした)。それは少年が「現実を見なければいけない」という大人の世界へ足を踏み出した証拠であり、どこか夢のようにふわふわとした少年時代との決別を意味していたのだろう。
 (子ども時代の)あの声もあの部屋も、もはや 遠い声 (Other Voices) であり、遠い部屋 (Other Rooms) となってしまった、その回顧の物語というふうにも読める。
 ファンタスティックさが後期の作品にもまして強く、しかも「どこからが虚構でどこからが現実かわからない」というわけのわからなさを持った長編作品であるため、ともすれば前後関係がわかりづらく、惑わされているような気分になった。支離滅裂、という評価を下す人もいるだろう、しかしその言葉だけでは語れない不思議な魅力があるとわたしは思う。
2006.11.06 | Bookshelf: 本棚  
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