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Amazon.co.jp:プラナリア
 プラナリアという生きものを知っているだろうか。高校で生物を選択した人なら、扁平動物にそんなのがいたことくらいは記憶にあるかもしれない。
 山本文緒が書く『プラナリア』は彼女の直木賞受賞作で、表題作『プラナリア』を含めた5つの短編を収録している。そのどれもが、誤解を恐れずにいうなら「人生に疲れた人たち」のお話なのだ。
 五体満足無事に生まれて、学校にいって、高校くらいは卒業して、就職して、結婚して、子どもができて、子どももすくすく育って、孫ができて、死ぬ。
 わたしたちは人生をたいていそういうものだととらえ、そういうふうに生きなければならないと思っている、というよりほとんど思い込んでいる。だから、そこから外れるようなこと、たとえば病気や失業や離婚などは、それ自体が本人にダメージを与えるだけでなく、周囲の人びとによる無責任で身勝手な視線がさらにダメージを増長することが少なからずある。
 この本のなかには、自分自身や周囲の「こう生きなければいけない」ということや、人生というものの先の見えなさが、ひどく重荷になってしまい、そこから身動きできずに人生そのものに疲れてしまった人たちがいる。何にも考えずに、動かないで、ただプラナリアのようにぷかぷかと水のなかに浮かび、分裂できたらどんなにいいだろう?
 しかし、彼や彼女は同時に身動きしないではいられないことを知っている。身動きのできない息苦しさで疲れきっていても、それでも人生をどうにか続けていくのだ。
 身動きがとれない、そういう息苦しさにつつまれているのだが、明日を生きていくことをさりげなく選択していこうとする人びとの姿には静かに感じるものがある。最後の短編『あいあるあした』のおわりで、悪いことばかりじゃないよと、よしよしと頭をなでてもらえた、そういう気持ちでこの本を読み終えた。
2006.11.18 | Bookshelf: 本棚  
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