
たしか、『双頭の悪魔』を読んだのが高校1年か2年のときだったから、それから数えてもゆうに8年ほどは経っている。『双頭の悪魔』が刊行されたのが1992年だから、実に15年ぶり……と考えてめまいがした。
何のことかといえば有栖川有栖さんの書く、江神二郎を探偵とした一連のミステリ・シリーズものの話である。有栖川さんのデビュー作『月光ゲーム』をはじめとして、『孤島パズル』『双頭の悪魔』と続いていたのだが、ぴたりとその次が出ていなかった。
それが、なんと昨年(2007年)の秋に続きが刊行された。けれどもそのとき卒業試験まっただ中、加えて国家試験を控えている身。その分厚さに「これをいま読んではいけない」という無言の圧力を感じ取り(ハードカバーで厚みが3cmもある)、背表紙を見つめたまま手をひっこめたんである。
そういったわけで、自由の身となったいま、やっとこの本を読んだのだった。最近は本を読むスピードが落ちていたから、これは3日くらいかけてゆっくり読むのかなと想像していたら、1日でひといきに読みきってしまった。
特にこだわりのない半端なミステリ読者のわたしではあるが、ほどよい「謎解き」のパズル感がいい。こまかいところを気にする人には納得のいかないこともあるだろうけれども、わたしとしては江神さん、アリス、マリア、モチさん、信長さんといった面々にまた会えたね、といううれしさのほうが大きい。
そしてこれ、26日に北山に行ったあとに河原町三条下ルのジュンク堂書店で、友だちと「読み終わったら、あの本とトレードね」という約束をして買ったのだった。貸してもらうのは、『ダヴィンチコード』。あれもこれも、まだ読んでいない本がたくさんある。
友だちは高校時代からの同級生で、大学は違うが国試のときも受験番号が連番だった。そういえば『月光ゲーム』から『双頭の悪魔』までの一連の作品も彼女に貸したなあ。彼女からもたくさんの本を貸してもらったし、いろんな本を教えてもらった。
そういう思い出と、『女王国の城』に出てくる大学生(江神さんは28歳だけど)のみんなの様子がまじり合って、ほんの少しだけしんみりしてしまった。10年も付き合いが続いていることを、大切にしたいなと思う。
2008.02.27 | Bookshelf: 本棚