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Amazon.co.jp:Touch the Sound
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パーカッショニスト(打楽器奏者)であるエヴリン・グレニーの「音の旅」を追ったドキュメンタリー映画。
エヴリンは8歳の頃から聴力に異常を感じ始め、12歳になるころにはほとんど聞こえなくなっていた。音楽を愛する彼女は聴力を失っても補聴器の助けを借りて音楽と親しみ、音楽家の道を選ぶ。

 まるで追体験をしているような気分になった。
 彼女が語る言葉は、わたしにとってとても身近で、自分自身がそう考えていたことだったから。他の人、とくに聞こえる人に彼女の言葉がどう受け止められるかはわからない。「新しい見地を得た」と思うか、「よくわからない」と思うか、さまざまだろう。けれども普段の生活に面白みを感じなくなっている人たちに、ぜひ見てほしいと思う。

 「Touch the Sound」の副題が、「そこにある音」なのにお気づきだろうか。
 人間はたいてい、いつもたくさんの音に取り囲まれている。
 聴力が正常である人たちにとっては、そんなのは当然のことであり、自分たちは音が聞こえていると思っているはずだ。たしかに、聞こえている。でも、どうやって?

 エヴリンはこう語っている。
「どうやって聴くの?」と聞かれたら、こう答えるわ。
「さあ、わからないけれど体を通して聴くのよ。自分をオープンにして。」
 エヴリンはこうも語る。聞こえる人たちに同じ質問をすると、「耳で聴いている」という答えが返ってくるけれども、耳で聞くって、どうやって?どうして私だけ「どうやって聴くの?」なんて質問をされるのか、少し腹立たしい、と。

 どうやって聴いているのか?
 聞こえていることが当然だと思っている人たちの大半は、実は音を聴く……つまり、音に耳を傾けることは少ないはずだ。
 具体的な例を挙げよう。たとえば電車の通り過ぎる音、雨が地面や傘や屋根を打つ音、人が歩く音(パンプスの音?スニーカーの音?どんな足音がしている?)、自動車が走る音、風が通り過ぎていく音、金属のぶつかる音、あなたはこれらの音たちをどれくらい注意して聴いたことがあるだろうか?
 「雑音がうるさい」と思ったことはあっても、たいていの人はほとんど注意もせずにただ聞いているだけだろう。

 エヴリンと、他の誰かの演奏風景を注意して見てほしい。
 彼女は時々、ともに演奏している人の方に目をやる。演奏者の体の動きやしぐさ、そういったものを視覚でとらえながら演奏しているわけだ。
 また、彼女は音を振動によって聴きわける。どういうことかというと、音というのは空気の振動によって発生するものなので、高さや大きさが違えば振動の性質も当然違う。低い音は低い波、高い音は高い波、そうすると手足に触れる振動の感じ方にも違いが出てくるので、彼女はそれを感じ取っている。
 つまり、音を耳だけではなくて、目で、体で、感じ取ろうとしているのである。そこにある音をつかみ、引き寄せ、発信し、奏でているのだ。

 音は私たちの身近にある。
 けれども、ほとんどの人の精神と肉体は音に対して開いていない。聞こえていると思っているけれども、「あたりまえだ」というその一言だけで、実は音に対して感性が閉じられてしまっている。
 音だけではない。あたりまえだと思っていること、何の面白みもないと思っているものこそ、もう一度目を向けて、そして触れてみる価値がある。
 音、風景、匂い、味、手触り、五感を通して、ありのままの自分で世界に触れようとするならば、新しい扉を開けるはずだ。

【Touch the sound】
 http://www.touchthesound.jp/
 京都シネマで5月19日まで。
2006.05.07 | Movie: 映画  
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