
微妙な距離感と、ちょっとのオカシサと、美味しいゴハンがあたたかくて心地よい映画。
フィンランドのヘルシンキに、小さな食堂がオープンする。
その名も「かもめ食堂 (ruokala lokki)」
小さな日本人女性、サチエが開いたその店を訪れる人は1ヶ月間まったくおらず、グラス磨きをするサチエを見てかしましいオバちゃん3人組に「あの子、1ヶ月もああやってるわよ」なんて言われる始末。
でもサチエはめげない。
毎日グラスをピカピカに磨き、しっかりとテーブルをふき、家に帰ればきちんとゴハンを食べ、プールに通ったり合気道をする日々。
日本かぶれの青年トンミ、ワケありの日本人女性、ミドリにマサコ、その他のフィンランドの人々も加わって、ゆるやかに(ちょっとヘンな)日常が流れていく。
それぞれの人にそれぞれの事情があり、でもそれについては多くは語られない。
ただおいしいゴハンと、日常の生活を積み上げて、いまができあがっているのだ。毎日体を動かして、おなかがすいて、ハラゴシラエして、そしてまたゆっくり歩く。いろんなことがあるけれども、それでいい。
原作:群ようこが得意とする、日常的だけれどもどこかおかしみを感じさせる人々に思わずニンマリしてしまった。
エキサイティングなものを求める人にはつまらないかもしれないけれども、群ようこのかもし出すゆっくりだけれどけっこう小気味のいい調子は、ハマればハマる、と思う。
【かもめ食堂】
http://www.kamome-movie.com/
2006.06.11 | Movie: 映画